機械工学科 政木清孝教授が日本材料試験技術協会「材料試験技術協会賞」を受賞
2024年4月26日
本学工学部機械工学科 政木清孝教授の論文が、日本材料試験技術協会の「第37回材料試験技術協会賞」に選定されました。本協会は、1956年に基礎的な材料特性の指標である「硬さ」に注目した「カタサ研究会」として発足して以来、産学官の技術者・研究者が互いに協力して硬さ試験、材料試験に関する学術研究と実用試験技術の多様なアプリケーションをテーマとして活動を行っています。本賞は、その協会誌に投稿された論文の中でも、材料試験技術上の現場の進歩・開発に関し特に貢献のある報告として選定された論文に授与されるものです。今回、材料試験技術 第68巻、第4号(2023年)pp.138-144に掲載された「X線CTによる欠陥検出と疲労破壊起点―ステルス欠陥の問題―」という論文が、その賞に選定されました。なお、記念メダルは、硬さ測定の基準となる「硬さ基準片」をアレンジしたものとなっています。
今回、上記タイトルの論文にて日本材料試験技術協会賞を受賞することができました。本研究は、物体の内部構造を非破壊で知ることができるX線CT技術(断層撮影技術)に関する内容のもので、そのCT技術を利用した欠陥検出に関する問題点(懸念事項)に焦点を当てています。X線CT技術を用いれば、比較的簡単に材料内部の「どこに」、「どれくらいの」欠陥が存在しているかをビジュアル的に検出することができるので、近年になって広く産業界でも利用が進められるようになりました。可視化された欠陥のインパクトが大きいため、観察者は可視化された欠陥以外に欠陥は存在しないと錯覚しがちです。しかし、物体内の密度差をグレースケールで表示するという検出原理を考えれば、寸法が大きくても検出できない欠陥が材料内部に潜んでいる可能性があり、予期せぬ材料破壊事故の要因となる懸念があります。そのような欠陥を「ステルス欠陥」と定義して、実際のX線CT観察結果と疲労試験結果を比較しながら、「ステルス欠陥」の実例について紹介しています。「見えない欠陥」に焦点を当て、一般的な考え方とは違う視点から物事をとらえた内容となっています。「ステルス欠陥」という概念が広まってくれることを願うばかりです。