機械工学科 長谷亜蘭 准教授が日本トライボロジー学会 教育貢献賞を受賞
工学部 機械工学科 長谷亜蘭 准教授が、日本トライボロジー学会 教育貢献賞を受賞され、5月27日~29日に国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されたトライボロジー会議2024 春 東京会期中に授賞式が執り行われました。
日本トライボロジー学会 教育貢献賞は、トライボロジーに関わる教育活動において、格別の貢献のあった個人またはグループが対象となっています。今回、「次世代を担う子ども達に向けた“摩擦の科学×謎解き”教育活動」の功績が称えられ、長谷准教授が受賞者として選ばれました。
長谷准教授は、日本トライボロジー学会の増強委員会・次世代教育ワーキンググループのメンバーとして各種企画・運営に関わるとともに、小中高生を対象とした独自の摩擦の科学×謎解き教育活動を精力的に行っています。この摩擦の科学×謎解きイベントは、2013年に初めて開催し、その後は各地で毎年多数開催し、これまでに多くの教育実績を残してきました。このような取り組みに対し、「謎解きを取り入れた環境教育教材の考案と教育実践」の功績により2019年地球温暖化防止活動環境大臣表彰、2017年には日本機械学会教育賞を受賞し、長年にわたりトライボロジーの一般へのアピールにも大きく貢献しています。
当該教育手法は、参加者の興味を惹く工夫がなされ、子どもたちが自発的に考える能力を養うとともに、グループ活動による摩擦実験などを通してコミュニケーション能力も養うことができます。昨今のコロナ禍では、オンライン教育やハイブリッド教育にも対応できるように、ペーパークラフトを用いた摩擦実験教材を開発するなど、対面による教育活動が困難な中でも活動を継続しています。本教育活動の参加者にはリピーターも多く、保護者や主催関係者からも高い評価を得ています。これらの功労と将来性から、本教育活動はトライボロジーの啓発活動および将来のトライボロジストを確保するうえでとても重要な活動であり、日本トライボロジー学会の教育貢献賞に相応しいと認められました。
※トライボロジー:摩擦・摩耗・潤滑に関する学問
長谷准教授のコメント
日本トライボロジー学会 教育貢献賞は、今回から新たに設立された賞であり、その第一号に選んでいただいたということを受け、とても身の引き締まる思いです。
摩擦の科学×謎解きイベントの教育実践も10年以上となり、摩擦をテーマにした謎解き教材も今では三つに増え、埼玉県のみならず東京都、石川県、新潟県など開催地域を拡大しながら、精力的に教育活動を行っています。
現在の深刻な少子化に伴い、次世代を担うエンジニアの確保が今後ますます困難になると予測されます。そこで、いち早く子ども達に科学や工学の面白さを伝え、その世界に入ってもらうきっかけを与えることがとても重要だと考えます。また、本教育活動は持続可能な開発のための教育(ESD)にも繋がると考えています。これらの信念を引き続き持ちながら、いただいた賞に恥じぬよう本教育活動を継続し、一人でも多くの子ども達に科学や工学の面白さを伝えられれば幸甚です。
最後に、これまでの摩擦の科学×謎解きイベントの実施にあたり、サポートいただきました学会関係者の皆様ならびに研究室メンバーの皆様、資金援助いただきました日本トライボロジー学会、日本機械学会、日本学術振興会、国立青少年教育振興機構の諸学協会に対し、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
【参考】
■日本トライボロジー学会
https://www.tribology.jp/
■機械工学科 マイクロ・ナノ工学研究室(長谷研究室)
https://www.sit.ac.jp/user/alan_hase/
■関連論文「A Novel Method for Education in Tribology through a Problem-Solving Game Activity: How Do You Win the Hearts and Minds of Children and Young People Who Will Bear the Future?」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/trol/18/5/18_202/_article