原子の積み重なり研究

クラスター説 vs 積層説(Uchida stacking motif)の視点から

研究の概要

Uchida stacking motif(新しい原子の積み重なり方)と空間充填・準結晶形成との関連

「原子が密に並んだ1原子層に空孔がある場合、追加した原子はどこに配置されるか?」というシンプルながら深い問題を、古典分子動力学で検証しました。

原子層における拡散・吸着のシミュレーション 二十面体構造の模式図

クラスター描像がクラスター同士の配置で全体のエネルギーを下げる(クラスター間最適化)」のに対し、積層説(Uchida stacking motif)は、密充填A/B/C層と空孔秩序が“通常の原子間ポテンシャルの総和”を最小化するだけで自発的に現れる。言い換えれば、局所配位と高さ(A–B, A–C)の最適化=密充填により、正二十面体様の局所構造が自然に選ばれる。特別な「クラスター間引力」や追加仮定は不要である。 Uchida stacking motif の簡単なルールで、数多くの複雑な構造をもつ合金を理解することができる。

観点ごとの比較
1 観点 クラスター説 積層説(Uchida stacking motif)
基本構成単位 多面体クラスター(例:正20面体) A/B/C層の積層と空孔秩序
配置の考え方 クラスター同士が詰まる 空孔を含む密充填層が特定の順番で積層される
対象とする物質 準結晶、近似結晶 複雑合金、近似結晶、準結晶?
理論的背景 クラスター間のエネルギー最小化 原子間のふつうの力だけで安定化 — クラスター間の特別な力は不要
構造記述の視点 局所的・集合的 全体の周期性・空孔秩序
Al-Mn系における種々のクラスター Al₄Mn, Al₁₇₇Cr₄₉Ni, Al₄Cr で確認
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