研究内容 (非線形超対称一般相対性理論)
● 非線形超対称一般相対性理論とは
非線形超対称一般相対性理論[1]は、超対称性の"非線形"表現と一般相対性理論(原理)に基づいて、 素粒子基礎理論である標準模型を越える(その背後にある)より根元的で重力相互作用を含むような 素粒子統一場の理論の構成を目指している。
非線形超対称性(超対称性の非線形表現)[2]は、超対称性の自発的破れを先験的に表現する対称性として知られ、 理論はNambu-Goldstone(NG)フェルミ粒子ψによる(一元的)作用により記述される。 非線形超対称一般相対性理論では、このNGフェルミ粒子ψを、(低エネルギー物理における) 様々な素粒子を表現するより根元的な基本粒子("超子")であると考える。 実際に、時空の接空間が、NGフェルミ粒子(超子)ψの自由度をSL(2,C)-Grassmann 座標としてもつような新しい時空(右図1)を定義することで、 新しい(統一的)時空計量(統一的四脚場:unified vierbein)が導入される。 理論は、新時空計量に基づくEinstein-Hilbert型の基本作用で記述される。
このような非線形超対称性を背景にした新時空内で、
- 基本作用は(先験的に)SO(N)(SO(10))超Poincare群と同型な対称性をもつ[3]。
(SO(10) ⊃ SU(5) ⊃ SU(3)×SU(2)×U(1)。)すなわち、非線形超対称一般相対性理論では、 すべての素粒子は、SO(N)超Poincare群の単一の既約表現に"線形"超対称多重項として帰属し、
- NGフェルミ粒子(超子)の複合による、時空(超)対称性の(零質量)固有状態として表現される
と考える。
また、理論の非線形超対称時空構造における超対称性の自発的破れは、 ビッグバン(Big Bang)の前の宇宙描像(量子力学的な宇宙像)として、
- "不安定な"新時空から、Riemann時空+(NGフェルミ粒子(超子))物質系への"時空崩壊(Big Decay)" 描像(右図2)、
を与えていると考えられる。 (右図2では、時空崩壊後の接空間はMinkowski時空である。 漸近平坦時空は、物質が無い時空からNGフェルミ粒子(超子)ψがある時空への転移を強調した。)
(編集中)
(参考文献)
[1] K. Shima, Phys. Lett. B501 (2001) 237.[2] D.V. Volkov and V.P. Akulov, Phys. Lett. B46 (1973) 109.[3] K. Shima and M. Tsuda, Phys. Lett. B507 (2001) 260, arXiv:hep-th/0101178; Class. Quant. Grav. 19 (2002) 5101.