植物ゲノム工学研究室は2013年に植物バイオテクノロジー研究室として発足し,2016年度に現在の研究室名としました。植物の様々な生理現象をゲノムレベルで解明し,そのゲノム情報を利用して効率的に「新しい植物をつくる」研究を行っています。
当研究室では,特に花の「色」や「形」,「香り」といった形質に関わる遺伝子を見つけ出すことで,新しい花をつくるための条件を分子レベルから決定していきます。
また,食品としての植物の価値を高めるために,「栄養成分」にも着目した研究を進めています。
工学部の中では、最も農学に近い分野といえますね。
現在は、主に以下のテーマで研究を進めています。
芳香シクラメンは、埼玉県農林総合研究センター園芸研究所で色違いの3品種が開発されました。
しかし花色のバリエーションは多くはありません。
そこで、新しい花色を持つ個体の効率的な選抜のために、
シクラメンの花色(アントシアニン)生合成にかかわる遺伝子群の同定と解析を進めています。
同定した遺伝子や得られた情報を利用して、新たな花色をもつ3品種の開発に成功し、現在は黄色や青色の花をもつ芳香シクラメンの開発を進めています。
また、香りの違う品種を使って芳香成分の生合成経路の解明も目指しています。
最近の成果:Mikami et al. 2023, Kang et al. 2021a, 2021b
埼玉県寄居町ではハーブの一種である「エキナセア」の育成に力を入れています。
しかし、現在のところ寄居町のエキナセアと他地域のエキナセアに違いを見いだせていません。
そこで分子生物学・生化学的手法を用いてエキナセアの特徴を見つけ出し、これを基に様々なバイオ技術を駆使して、特徴ある「寄居町エキナセア」の開発を目指しています。
現在は、園芸的な価値を高めるものとして青い花をもつエキナセアの開発を、食品としての価値を高めるためにビタミンB類などの栄養成分の高含量株や、
アレルゲンなどの有毒成分の完全除去株などの開発を目指しています。
最近の成果:Kojima et al. 2024, Wu et al. 2021
花の形態形成の分子機構は、「ABCモデル」(Coen and Meyerowitz,1991)で説明されます。
しかし花の形は多様であり、すべての植物でABCモデルが成り立つわけではありません。
花の形態の研究では、ラン科植物のシラン(Bletilla striata)を用いて,ラン科植物に特徴的な「唇弁
(しんべん)」の形成機構の解明を目指して研究を進めています。
参考文献:Kanno, 2016
大学は最高学府であり、社会人への最後のステップとなります。 高校よりも自由度は上がりますが、同時に責任も大きくなります。 学生の皆さんが、こういったことを意識しながら大学生活を充実したものとし、自信(自身)をもって社会に進出してもらうための指導方法を、 試行錯誤を繰り返しながら日々考えています。